ジーハ

ハングリー・ハーツのジーハのレビュー・感想・評価

ハングリー・ハーツ(2014年製作の映画)
3.5
アダム・ドライバーが主演のイタリア映画。

「マリッジストーリー」に続き、ここでも苦悩する夫を好演。でも今回は系統が違う…こちらはかなり厄介、複雑な問題を抱えてました。

ジュード(アダム・ドライバー)とミナ(アルバ・ロルヴァケル)はニューヨークで出会い、妊娠がきっかけで結婚。子供の誕生を待ちわびる幸せな生活を送る一方で彼女に少しずつ変化が表れる…それは息子の出産後更に加速していく。店で売られてるものは全て有害とし、息子が触れたり口にするものに異常な拒否感を示す彼女の子育ては、家族や社会から孤立し、彼女も自分を否定する全てを敵視するようになっていく。
しかし結果、息子は栄養がとれず衰弱していき…

どの辺りからだろ?
ミナの生きる力を失ったような目…。
生きることを諦めているんじゃなく、
なんというか、まるでこの世界の人じゃないみたいな…透けてるような感じ。
彼女の魂は何処にいるんだろ。
何を考え見てるのだろ。
何を信じていたのか…。
ストーリーを追いながら、
ずっと彼女を探りながら観てました。
でも結局彼女のことがわからなかった。

いつから歯車が狂い始めたんだろう。
…そして想定外の結末。

サスペンス要素も高い作品でしたが、
個人的には、変化していく妻をどう受け止めるのか…。 抱きしめても、向き合おうとしても、夫の声がが届かずすり抜けてしまう…そんな彼女をどう愛し支え続けられるのか。
そっちに強く惹かれました。
観る人の好みで作品の捉え方が違ってくる作品かもしれませんね。

ジュード(父親)と息子。ミナ(母親)と息子。
それぞれが息子と海辺で過ごすシーンが出てくるんです。やわらかな光と大切な時間を感じるとても素敵なシーン。

息子の手をとり浜辺を歩くジュード(アダムドライバー)が温かくも切なかったな…。

私には不思議な感覚で心に残る作品でした。
ジーハ

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