TaiRa

第三世代のTaiRaのレビュー・感想・評価

第三世代(1979年製作の映画)
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戦争もなければ闘争もない第三世代の表象として。

オープニングから『たぶん悪魔が』の引用。登場人物がやたらテレビや映画を観る。第三世代のテロリストたちは理想もなければ大義もない、テロが目的となってしまった集団として存在する。職場の問題や家庭の事情、そういった日常がコラージュの様に羅列された第一部の編集は凄まじい。山本直樹の『学校』みたい。テロリストと言っても目的がないし、あったとしても何なのかよく分からない。何かと戦っていると錯覚し、その状態に酔っている。大きな存在の手の平の上で踊らされている事も知ろうとせずに。お人好しの男が家に住まわしているヤク中の女とその友人たちの乱入も関係ない。素人テロリストの悲劇と喜劇がない交ぜになった「戦い」は子供のお遊びと変わりがない。仲間外れの本の虫が素人探偵となって事の真相に近付く終盤の楽しさ。銀行強盗のヘタっぷり、誘拐のおふざけ感、誰にも届かないビデオメッセージのリハーサル、「もうええわ!」という感じでバツっと終わるヘンテコ奇妙な映画。
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