きみどり

ドローン・オブ・ウォーのきみどりのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
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兵士は戦場に行っても、行かなくても地獄に堕ちる。

毎日ラスベガスの真ん中を通り抜けて砂漠の基地へ出勤。無機質なコンテナにこもって、無人爆撃機を操作して「テロリスト」を殺し(頻繁に民間人が巻き添え)、またラスベガスを通って砂漠の端っこに整えられた住宅街のマイホームへ戻る。妻子との話題は車の修理や宿題といった、平穏な日常生活が待っている。

これが抑圧の効いた描写で淡々と繰り返されるので、イーサン・ホークがひっそり壊れていく様子が見ていて辛い。
軍人でありながら遠い戦地へ行かず実戦の危険もない仕事は傍目には理想的なのだろうけれど、どうしたって病むよね…。

結末にかすかな救いをもたせてあったけどけっこうダメージのある映画でした。

監督は『ガタカ』の人なんですね。主人公の働く基地や、住んでいる街のビジュアルのゆるい非現実感(それが妙に怖い)に通じるところがありました。
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