ヒゲゴリ恐怖映画系

ドローン・オブ・ウォーのヒゲゴリ恐怖映画系のレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
4.0
貫いたエゴ

男は今日も上空3000mから地上を眺める。
ターゲットを補足しレーザー照射、トリガーを引きミサイルを発射……室内に響く「グッドキル」。
元戦闘機乗りの男は、毎日安全な場所からドローンを操り遥か彼方の地で命を奪うことに疲れ果て、自分の行う正義に違和感を感じていた。
偽りの自分を演じることに限界がやって来た男のとる行動は…

戦争における正義とは何なのかを問われる映画。
事前に危険の芽を摘む行為と言い、多少の犠牲は構わないと民間人をも巻き込む爆撃。
その考えに疑念を抱くのは人として当たり前なのだが、軍事における上からの命令となればそれを実行しなければ「偽善者」「反国主義者」と罵られる現状。
「勝てば官軍、負ければ戦犯」の上で成り立つ考え方、正義という名の暴力が負の連鎖を生み出すのがよく分かる。
人としてのエゴか、軍人としての義務かの狭間で精神を蝕まれていく男の様は◎
近代戦争の在り方を考えさせられる良作、是非。