いずぼぺ

わたしに会うまでの1600キロのいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.5
個人的な感覚からすると、共感の多い作品だった。
私は一人で歩くのが好きだ。1600キロも踏破したことはないが、数珠つなぎではあるが7年かけて自宅から那智大社まで400キロをすべて徒歩で踏破した。いわゆる熊野古道という道だ。世界遺産に指定されて随分と整備されているがマイナーな区間は道を見失う事しょっちゅうだった。一日中歩いてもほとんど人と会うこともない区間もある。何があるの?なんで歩くの?とよく聞かれる。
はっきり言ってなにもない。そこには道があるだけ。だから歩く。車だと見逃してしまうことや風景、音。それしかない。
主人公シェリルの最初の数日間のことはとても共感できた。ザックが重いと肩や腰に赤い擦り傷ができてくる。靴選びの問題で爪が取れてしまったことも体験した。よく考えて持ってきたはずのものの半分くらいは使わないものだった。(荷物が多いのは心に抱えてる問題が多い人らしいわね)
自分で一大決心してきたのに、どうしてこんなしんどい目にあっているのかと腹がたってくる。で、ウォーキングハイが来て、また落ち込んで腹がたってくるの繰り返し。
最後の方はゴールとかよりも一歩一歩の歩みに意味があるように感じた。
ゴールしたってなにも変わらない。ちょっと達成感あるだけ。
とてつもなく大きな存在のなかで小さな一歩を繰り返す自分が愛おしく感じた。
以上、シェリルの歩みを観ていて思い出したことでした。
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