一人旅

わたしに会うまでの1600キロの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ジャン=マルク・ヴァレ監督作。

アメリカの女性作家シェリル・ストレイドによる2012年発表の自叙伝「Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail」を、2021年に58歳の若さでこの世を去ったカナダの俊英ジャン=マルク・ヴァレが映画化した実話を基にしたロードムービーで、ベテラン女優:リース・ウィザースプーンが長距離自然歩道の踏破に挑むヒロインを満身創痍で熱演します。

1995年のアメリカを舞台に、最愛の母親の死をきっかけに薬物と男に溺れ結婚生活を破綻させてしまった孤独なヒロイン:シェリルが、アメリカ西海岸を南北に縦断するアメリカ三大長距離自然歩道のひとつ「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)」の単独踏破に挑む姿を描いたロードムービーの力作で、広大な砂漠や岩山、雪原といった過酷な自然環境を徒歩で北上するヒロインの約1,600km、約3か月間に及ぶ長い旅路の顛末を、最愛の母親を亡くしたヒロインの悲痛な過去を回想しながら映し出していきます。

母の死により自暴自棄となっていたヒロインが長距離自然歩道への挑戦を通じて生きる気力と活力を取り戻していくまでの過程を現在と過去の交錯の中に描いた“再生ドラマ”となっていて、旅の道中で出逢う人々との一期一会の触れ合いに人の温かみを感じさせますし、PCTの多様な自然風景が全編にわたって美しく映し出されています。

蛇足)
原作者のシェリル・ストレイド本人がヒロインをピックアップする運転手役でカメオ出演しています。
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