P後輩

ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男のP後輩のレビュー・感想・評価

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すごくよくまとめてる。そしてこの手の「監督ドキュメンタリー」には珍しく、中心となる話者となるのは、故ロバート・アルトマン監督自身だったりする。アルトマンのインタビューなどから抜粋したと思われる「ナレーション」が最後まで続く。
色んな出演者、最後にはポール・トーマス・アンダーソンまでもが出てくるがほんの一言だけ。刺身のツマあつかい。監督の狙いもわかるけど、やっぱりもったいない。
それでも膨大なフッテージ(メイキング映像からホームビデオまで)を見せてくれるので、全く飽きない。そしてポーリン・ケイルのあの『ギャンブラー』を評した有名な言葉、「アメリカにはフェリーニもベルイマンもいないが、われわれにはアルトマンがいる」というのが彼女自身の音声で語られるというオマケつき。だから結構贅沢な作りではある。

しかしどうにも綺麗にまとめられている感があり、アルトマンのことがわかったような、やっぱりわからないような、微妙なかんじになる。カオス的な映画でアナーキーな映画作りが、ちゃんと引き出しに整理されたようにも見える。
映画作家のことを描いているが、その「作家性」に対してつっこみが足りない。だから当然のように欲求不満になる。これはプロデューサーに名を連ねているアルトマン夫人の意向が反映されてのことだろう。邪推するならば「ハリウッドに嫌われたように見えるけど、良き映画人で、良き家庭人だった」という風に。

だが『マッシュ』や『ポパイ』(!)などで動くアルトマンをみると、やっぱりジンワリしてしまい、あんまり贅沢を言えない気持ちにもなる。
だから、やっぱり、この人は今でも困った存在だ。

@EBISU GARDEN CINEMA(10/28/2015)