アメリカ映画は60年代以前と2000年前後のものが好きで、あとは特別な何かがなければ見ない。見ない時期の映画をたくさん撮っているのに例外的に割と見ている映画が多いのがアルトマンで、わざわざ見ているものもなんとなく見たらアルトマンだったというものもある。
60年代以降から90年代ぐらいまでで、普通のアメリカ人が出てくる映画って少ない気がするのだか、彼の映画の登場人物はリアルだ。その理由はこの映画を見ればよくわかる。意図的に普通の人々を撮ろうとしていたのである。
『ショート・カッツ』がヒットした後は割と普通の映画が多いのだけれど、意表をつく自由な作品や傑作が多い『MASH マッシュ』が成功した後『ポパイ』までの作品はワーナーで自由な条件で好きなように撮っていたとのこと。その時の責任者がアラン・ラッドでそれをやめさせたのがグレース・ケリーとのことだ。グレースに関しては当時のインタビューからしてさもありなんと思ったのだが、1980年でもワーナーの経営に関わっていて権力があったとは意外。
俳優を大切にして力を引き出したそのやり方も徹底していて驚いた。
マリブの豪邸は一時人手に渡っていたのだろうか?ちょっと気になった。
年代順に作品順に描かれたオーソドックスなドキュメンタリーですが、俳優の証言だけでなく、挟まれるホームビデオや未公開作も含む短編映画などから映画を撮る楽しさが伝わってくるのがとても良かった。
(普段着のアメリカ人を撮り続けた監督 2021/10/26記)