あまのかぐや

幸せをつかむ歌のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

幸せをつかむ歌(2015年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

またまたこんな記憶に残らない邦題を。

「マンマ・ミーア」以上に奔放なおかんと、彼女が捨ててきた家族のお話。

バンドの夢を捨てられず、夫と3人の子供を捨てて出て行ったおかん・リッキー。地方の小さなライブハウスでオールドスタイルロックンロールのバンドマンをやってる。原題は「リッキー&ザ・フラッシュ」彼女のバンドです。

娘が離婚して実家に引きこもっていると聞き、別居中の娘との絆を取り戻すために家に戻る。

黒人の後妻を家に入れた(敷地にはいるのにIDが必要な高級住宅街!)夫。3人の子供たち、離婚直後でメンヘラの娘、ゲイの長男、そして結婚を目前に控えた次男。

リッキーがいないまま、すでに出来上がっている時期を経て、さらに個々に生きようという季節の家族たち。家族とはいえ、いい年した登場人物たちの心がバラバラというのはわかる。

ゲイの長男がカミングアウトした時期も、リッキーは知らなかったようだから、そのあたりの家族を見てきたのは、きっと後妻なんだろな、などとうかがえます。

で、次男のジョシュがセバスチャン・スタンなんですけど(まぁ言ってみれば彼目当てでみたのだがー)この家庭で、唯一の普通の子。なんかあるだろう、実はなんかあるんじゃないか?とドキドキしながらみていましたが、最後まで普通の良い子。そして一家でだんとつかわいい。

引きこもりの娘の髪をカットしに連れて行き、娘を捨てた元夫に啖呵を切りに行き、そうしてわかりやすく娘との距離を詰めていくのですが、後妻に「産みの母より育ての母」と食い下がられ、「わかりました」と引き下がって家を出ていく。

最後はジョシュの結婚披露宴。どうみても場違いな産みの母とその彼氏の登場に親族一同唖然。
ここで息子のたっての希望でスピーチにたったリッキー。感動的なメッセージをかますと思ったら、結構どうでもいい内容で早めに切り上げ(スピーチとスカートは短い方がいいとは言いません)、場違いなリッキー&ザフラッシュのバンド演奏スタート。

母をたてて、花嫁とのファーストダンスを踊り始めるジョシュ(やっぱりいいこ!)最初はしらけていた列席者もそれに合わせて場内幸せなダンスシーンで大団円!スピーチよりもバンドよりも、やっぱり氷を溶かした、というか「いやあよかったねェ、みんなおめでとう!」と思わせたのは、ジョシュの計らいであった、とは。やっぱりいいこ!しつこい!

挿入歌が総じてアメリカンオールドスタイルな感じで、好きな人はたまらないと思います。単にわたしの趣味なんだろうけど、しっくりこなかった。しかもそのバンド演奏シーンが長い。演奏中うとうとしてしまい、ハッと目覚めて「え、まだ歌ってるの?」てぐらい長い。

なんでしょう、これは。リッキーの彼氏の熟年イケメンバンドマンがリック・スプリングフィールド(なんと御年67!)だから、サービスとでもいうのでしょうか。メリル様と彼のラブシーンもあるよ!でもリック・スプリングフィールドなら、やっぱ「ジェシーズ・ガール」でしょー。

引きこもりの娘役、作品中ほとんどのシーン、すっぴんでやつれてる姿なんですけど、このひとメリル・ストリープにそっくりだなぁーと思ったら、実の娘だったのですね。そう考えれば、メリル様が娘の役のために脇に降りて彼女を支えるじゃっかんイタいけど熱血母を演じているのかと思うけど、いかんせんメリル様の(イタくても、がさつでも)センターオーラが眩すぎる(笑)「イントゥザウッズ」もメリル様しか印象に残らなかったしなー。

メリル様は「芸の幅が広いですねェ」などと評される域を超えていますね。この映画と同じ年に「マダムフローレンス」と「サフラジェット(未来を花束にして)」と、そしてこれ。翌年には「ペンタゴンペーパー」。

そんなバラエティに富んだ役めじろ押しななか、このリッキー役は「えええ、こんな役のもやるのねぇ!?」と思わせるにはいいけど、ちょっと見栄え的にどうだろうという気が。

いや逆にきついからこそ、無理があるんじゃね?と思わせるからこそ、人生を重ねた老境を前にしてなお夢に生き、かつ包容力ある女の年輪が見えるのかもね(いやそこまではどうだろうか)

とりあえず、もう一度声を大にしていいたいのは「このセバスチャン・スタンむっちゃかわいくないですか?!」。スコアは真ん中にしておきたかったけど、スタン加点あり。
ウィンターソルジャーがきらっきらの笑顔全開で良い子やってる姿が堪能できましたので。
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