Mitan

キャロルのMitanのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.2
試写会にて。
最近、女性同士の恋愛をテーマにした「アデル、ブルーは熱い色」を観ていたので、それと何となく比較しながら観てました。
写真家を夢見るデパート店員のテレーズ(ルーニー・マーラ)はある日娘にプレゼントを買うためにやってきた婦人キャロル(ケイト・ブランシェット)に強く惹かれる。その想いはキャロルも同様で、2人の距離は急速に縮まっていく……。

「アデル〜」と比べると、ケイト・ブランシェットがとても大人なので、大人の恋愛のように感じました。
ですが、「アデル〜」と違うのは、2人の恋は状況としてみれば「不倫」としか言いようがないものです。
でもそれが、何故だか観ているこちらにも「美しい」と思わせるのは、2人の主人公の美しさと、その関係を一種のファンタジーのように感じてしまう自分の価値観によるものなのだな、と思いました。
キャロルがもし男性だったら、もっと違う感情を抱いていたことでしょう。

また、印象的だったのは、テレーズの心の揺らぎ。はじめはランチのメニューも自分ではまともに決められず、彼であるリチャードからの熱烈なプロポーズにも「どうすればいいかわからない」と戸惑い気味。写真家になりたいという夢はありながら、具体的なアクションは起こしていない。
彼女の人生はいつだって迷い、戸惑うことの連続でした。

でも、キャロルが現れてから、彼女は変わりました。キャロルの誘いにはいつだってすぐに「いいわ」と返事をし、全てを受け入れるように。
最後には、きっと自分で決めた「何か」を選び取ったのでしょう。

わりと淡々と進んでいきますが、余韻がじんわり残る映画だと思います。
Mitan

Mitan