ダイヤモンド

キャロルのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.0
官能的眼差しの映画_。

キャロルが初めてのランチでテレーズの名前を呼ぶ瞬間、それは女豹のような鋭さとセクシーさ。対照的に目を伏せた時の哀しげな瞼。
テレーズがキャロルの家に招待された日。車の中でキャロルのパーツを遠慮しがちに追うテレーズ。
そしてラスト。紆余曲折があったものの、最後にキャロルの元へゆくテレーズ。それを迎えるキャロル。この時、互いの想いが本当の意味で通じ合った瞬間だった。
テレーズ“来たわよ”、キャロル“来たのね”的な_。

(そうそう。テレーズが働くデパートで初めてキャロルに目を留めた瞬間。キャロルの方もテレーズの眼差しに気付き、アンニュイな視線を送った瞬間。すでにその時、二人の道筋が一緒になる運命にあったのです)

共に孤独を抱えた女性二人が、偶然の巡り合わせで惹かれ合い、それが愛に変わるストーリー。その過程で絡む、双方の諸問題が二人を引き離そうとするが、それを乗り越えて結実した、愛のかたち。

やはりケイト・ブランシェット。エレガンスという言葉は彼女のためにあるのではないかと思うほど。それに関しては演技力とかの次元ではなく、元から備わっている天性のものなのでしょう。そして、その相手役であるルーニー・マーラ。ケイトとは好対照な彼女は、寂しげな表情が似合う寡黙な若いこ。このマッチングの妙。キャスティングの勝利でしょう。