とても美しくて重厚感がある。
主演2人の所作1つ1つ・セリフ・映像を、香水にして素敵な瓶に詰めたい感じ!笑
鑑賞後もたびたび思い出しては、その余韻に浸ってる。
けど、その余韻は美しさだけでなくて、この作品の不思議さでもある…。
不思議さ というか、矛盾 とも言えるかも?
この作品では、2人の恋愛を、昨今のLGBT運動的目線(つまり人権喚起的)では捉えてなくて、あくまでロマンスたっぷりに描いてる。
当時の時代背景や「道徳条項」という障害も登場するので「LGBT映画感」は確かにあるんだけど…
でも、やっぱり登場人物らの関心はそこにはないように見えた。同性愛について激しく差別される場面無かったし。
だからこそ、私も彼女らの恋愛の美しさを堪能できたんだよね笑
でもでも、フツーの倫理観でいくと、キャロルとテレーズの選択は美しくないよね?存在理由についてのキャロルの演説はかなり感動したし、感涙一歩手前だったけど、でも彼女の感情的行動は様々な人を一瞬でも不幸にするよね?テレーズだって、さすがに彼氏に対して無礼すぎじゃない?
そこを「美し〜い‼︎」とか「存在理由〜‼︎」とかって感動できてしまうのは、やっぱり同性愛が前提の恋愛だからなんじゃないでしょうか…
男女の不倫をこんなふうに描かれたところで、美しいとは思えたとしても、こんなに清々しい気分にはなれないんじゃないかな。
……ていうわけで、こんな矛盾さえも美しいと感じられる素晴らしい映画だと思いました!