円柱野郎

キャロルの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

キャロル(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

おっさんの身の自分としては…女性同士の恋という理解を超える関係を描いた話ですが、キャロルとテレーズという2人の女性の間で次第に気持ちが近いづいてく様子、そして許されぬ状況の中での彼女らの心情がとてもよく伝わってくる。
演じたケイト・ブランシェットもルーニー・マーラもそこの気持ちの揺れの具合の体現性が凄いね。
個人的には一線を越えるまでの間柄、そして終盤にキャロルが断られることを怖れながら会食に誘うシーンが好き。
映画ではハッキリ何年ごろの話とは言わないが、デパートで流れるアイゼンハワー大統領の就任を祝う館内放送から1952~53年の話であることが分かる。

ただ、話の構造自体は目新しいものでもないし、女性同士のメロドラマという印象以上には感じなかった。
確かに50年代の同性愛者という存在に対しての世間の目の様な苦難は多いだろう。
女性が、まして同性愛者が“自分らしく生きる”事は大変な障害があった時代だとも思う。
しかし、この映画の登場人物たちにとっての障害は、どちらかというと社会構造への言及よりも、親権や女性を愛したという内向き(個人的)のベクトルが強く、そこに周囲への理解を生み出すだけのメッセージがあったかというと…個人的にはあまり感じない。
なので「ミルク」や「フィラデルフィア」といった同性愛をテーマの一つにした他の作品と比べると、話が内向的すぎて俺には乗り切れなかったのも事実。
円柱野郎

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