パートナーに結婚を迫られているテレーズと夫と離婚調停中のキャロル。
共に人生の岐路に立っている2人が巡り会い、そして交差していく物語。
友人と入った先のレストランで、自分の食事すら自分の意思で決めることができないほど優柔不断なテレーズ。よもや結婚の決断などできるはずもない。
そんな彼女が惹かれたのは、芯の強さが服装、表情、仕草のすべてに滲み出ているキャロル。そしてそんなキャロルにも弱さがあることを知ることで、どうしようもなく深くハマっていく。
テレーズがキャロルに対して抱いていた感情は、恋心というよりもむしろ自分とは正反対の同性への憧れであったように思う。キャロルとの行為が全て受動的だったことも、自分の憧れの人間の望みに応えたいという心情の表れだったのではないだろうか。
そして物語の終盤、テレーズは冒頭では考えられなかったような大きな決断を下す。
この作品はキャロルを通して人間として成長していくテレーズの物語であるように感じました。