スマイリー

キャロルのスマイリーのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0
丁寧なメロドラマ。
まずトッド・ヘインズ監督、腕がある。カメラをどこに置くか、役者の動線を把握した上で、1番映画として効果的なところが分かっている印象。車のガラスを使った、ロマンティックな見せ方も見てて楽しい。こういうのを見ると、この監督の他の作品も観たいなと感じる。
他にも、衣装や小道具、色の配置は言うまでもないし、ここ最近で1番良いと思ったのは、役者の演技が物語を引っ張っていること。ラストシーンに顕著なように、役者の微妙な表情や態度で登場人物の感情を伝えている。これは、主人公2人の演技が素晴らしいというのもそうだし、細部にこだわる監督が最終的には役者を信頼している故のことでもある。メロドラマということで、一つ一つの丁寧な見せ方、登場人物の恋心をちょっとした行動などで見せていき、距離が縮まっていくのを見るのも楽しい。
同性愛が注目されるが、確かに例えば精神病とみなされていた時代を告発するようなシーンもあるが、単にメロドラマの描く恋愛の障壁の一つとして捉えることも十分可能な作り。私はそう捉えた。同性愛を美化していて、異性愛を逆差別しているという意見を読んだが的外れだ。というか、恋愛を美化して描くことがどうして差別につながるのか理解できない。2016年、同性愛か異性愛かという枠にとらわれすぎた見方はもうやめよう。
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