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キャロルのsomaddesignのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
5.0
極端に対照的な二人が、至極当然のように惹かれあい恋に落ちる大人なラブストーリー。しかしながら、女性同士。


原作未読。っていうか、映画化されるまで邦訳が出版されてなかったそうなので、そりゃ読んでないわ。
原作は「太陽がいっぱい」「殺意の迷宮」で知られるパトリシア・ハイスミス。1952年にクレア・モーガン名義で出版した『The price of salt』(1984年に自身名義で「Carol」にし出版)
当時NYに住んでいたハイスミスは、生活のためにデパートのオモチャ売り場でクリスマス期間中店員をしており、そこへきた美しいブロンドのお客のご婦人がキャロルのモデルになったとか。

ケイト・ブランシェットの活動的で自立した美しい大人の女性の色気っぷりはサスガの一言。
対するルーニ・マーラーの田舎から都会に憧れて出てきたような野暮ったさから、徐々に洗練された大人の女性への変遷(服装やメイク)もお見事。

カメラワークが兎に角凝ってて、どのシーン、どの仕草も意図的で
淡々としたストーリーなのに目が離せませんでした。
冒頭のテレーズの両肩と手は両天秤と決断のメタファーだったり、結露して曇ったクルマの窓ごしのテレーズの表情が彼女の心理描写だったり…
ことほど左様に、イチイチのシーンが彼女達の心の揺らめきの演出になってて見てて疲れる勢いでした。
曇りガラスや鏡越しの表情を捉えた心象描写も素敵だし、
フロントガラスや家の窓枠を用いた登場人物の関係描写も好きです。
クライマックスだけ、テレーズのアップを手持ちカメラで捉えたブレブレ……からのピタッとキマるシークエンスが、ランチのメニューすら満足に決められなかったテレーズの成長と決断みたいでカッコよく、二人の今後を暗示してるみたいでした。
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