『エデンより彼方に』に比べて、同性間の恋愛のタブー感や棘が薄れて、案外フツーのメロドラマになっている点が素晴らしい。
なんであれ、二人の存在感、切り返しは格別である。序盤、緊張でびくびくしたルーニー・マーラに対して、あのガタイで毛皮のコートを着たケイト・ブランシェットなんて、猛禽類にしか見えん。
中盤から二人の逃避行、自然と太陽光が当たるルーニーに対し、ケイトはよく見えることを逃れるようなショットが多い印象。ベッドでも同じ。だから最近では『アンジェリカの微笑み』同様に、「幻の女」を追い求める話なのかと思った。
そのイメージは写真のなかに融解していくのかと思いきや、ラストがまた良い。これこそ恋愛讃歌ですね。