セトヤマ

キャロルのセトヤマのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0
心をかき乱す映画だ。
物語を追うごとに胸が苦しくなる、
テレーズとキャロル、二人の愛を感じれば感じるほど辛い。


ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラ、この二人の芝居は実に巧妙で、互いの距離が近づいていく様を表情や仕草で表現していく。
特に目線、そっと見つめ合ったり、外してみたり、ウィンクしたり、視線の交錯の演出、まさに視線の映画。
ブランシェットの熟年したオトナの慈愛に満ちた瞳、
マーラーの若く無垢な大きな瞳。

二人の表情を追っていくだけも見れてしまう。

そして観客の視線誘導も素晴らしい。
そこを見なさいと限定された構図。
橋の下、建物の陰、この二人を盗み見てるかのような。
美しく彩られた二人だけの世界、映像美もまた魅力な映画だ。


同性愛をテーマにしてるけども、
1950年代ニューヨークを舞台とした、それぞれの愛の形が実に興味深い。
誰もが愛ゆえに行動している結果が上手くいかない。
ただ、最後にキャロルが下す決断と台詞が心に響きますね。