こまだこま

キャロルのこまだこまのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.8
新作・ワンダーストラックの監督作品と知り、ますます興味を持って鑑賞。
映像の美しさと作中音楽がマッチしていて完璧に近いものを感じた。特に、窓に映りこむ風景と人物が重なり合って多重露光のような効果を生み出している演出が幻想的で好きだった。主人公・テレーズが写真を撮ることを表現手段としている設定も、構図や演出への拘りを強固にしていたのかしら。

女性同士の惹かれ合いの過程やラブシーンなど苦手な方や偏見を持つ方もいると思う。しかし、人に惹かれることに理由を求めるのは難しいし、"わからないけど、そしてわからないからこそ惹かれる"という部分が恋愛の醍醐味でもあると思う。あとは女性同士となると特に、自分が持っていないような相手の美点・魅力への憧憬、いわゆる"ないものねだり"も根源としてあるんじゃないかなぁ。テレーズに然りキャロルに然り。

物語としては語られない部分も多く、事の全てを把握するのは難しい作品だった。その曖昧さ加減が飾られていないリアルの表れだとも感じた。
あとはファッション、車、ドライマティーニ、煙草、レコード。全てがシックで洗練されていた。憧れるわぁ。
こまだこま

こまだこま