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キャロルの斜線のレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0

虚像や偶像としての「大人」ではなく
意志を持ち、社会を生きて戦い抜く具体的な大人としてのケイト・ブランシェットの圧倒的佇まい、女性としてのその漢気に惚れてまうやろ!
全編に漂う押せ押せな時代のアメリカと裏腹な儚い空気感、窓越しの視線の羨望や切なさ具合ももちろん、やっぱりルーニー・マーラの無敵な素朴さも好きだわー

「あなたは若いから解決や説明を求めるでしょう、でもいつかわかる時が来る」

2020.0920 II

例えばゴーン・ガールは私の中で結構大きな作品で、技巧によったものの中では今だに最高峰だと思っているのだけど、その理由は作品が持つテーマの普遍性なんだと思う。
『結婚とは』ひいては「人間関係とは」というそれだけでは抽象的ともいえるテーマを際立たせる術のその巧さと鋭さに私は惚れてしまったのだと思う。それもまたドラマであり映画なのだ。

翻って今作。
「自分にとって正しい行いを為す」
「そのため努力は怠らない。評価は他人が決めること」
対外的な、そして内省的な視線。それを持ってどう生きるか。
凡百の映画だったらうるせえ!と一蹴するぐらいありふれたテーマだけど、そうさせないのが製作陣の手腕によるものなのか。
徹底した視線の使い方、無言のアップでもたせる演技力(もちろん美しさも)、時代を映した音楽。もはや古典ともいえるほど技巧が確立している。
その大きな船に乗るのがケイト・ブランシェットであり、俺の嫁ルーニー・マーラなのだから恐ろしい。震えがくるほど傑作ですね。
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