おにぎり

キングスマンのおにぎりのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
3.8
コリンファースのイギリス紳士振り最高。丁寧に仕立てられた背広、品のある照りが美しい革靴。英国紳士の必需品、傘に至るまでうっとりしてしまいます。さらに撫でつけた髪の毛が、アクションシーンで乱れる姿のセクシーさは必見です。

ストーリーに織り込まれた沢山のアメリカ風刺やパロディはなかなか面白かったし、映画として見やすいし、画面の斬新さや迫力は素晴らしく、充分最後まで観てしまうんですが、やはり「キックアス」と同様の違和感を感じて100%楽しむことは出来ませんでした。
触れている方も時々いらっしゃいますが、いかに悪人であろうと、人が死ぬ或いは殺される場面で陽気に笑うことは私には出来ない、と言うことです。ここがこの監督のどうしても受け入れることの出来ない考え方で、随所にその考え方が散りばめられていますから、ストーリーに入り込みそうになると、生理的にゾッとする場面が出てきて我にかえる繰り返しでした。

「キックアス」の時も思いましたが、肯定的に考えると、この監督はホントにアメリカの色んな事が嫌いなんだと思います。いくらお金持ちになったってどうせ食べるもんはジャンクフードなんでしょ勘違い成金のアメリカンセレブ達、とか、子どもを大切にしないアメリカの親たちや、プロテスタント教会とその信者、ヒット間違いなしのこの映画の重要人物を二度と出てこれない状態にしたのも、ダラダラとシリーズ化して出汁ガラまでしゃぶり尽くすアメリカのドラマシリーズの製作姿勢を、真っ向から否定した皮肉と受け取ってイイよ、と言うメッセージに感じました。

まあ、それにつけてもマークハミルの悪人顔具合が見るたび加速してますね。
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