ジーク

キングスマンのジークのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
5.0
礼節が人を作る。


ロンドンにある表向きは高級テイラーの「キングスマン」。
その実態は国家に属さず国際犯罪を阻止する為に組織されたエージェント組織。
ハリー・ハートC.N.「ガラハット」は仲間の死により新しいキングスマンC.N.「ランスロット」を選出するために17年前自分のミスで命を落としたエージェント候補の忘れ形見エグジーに会いに行く・・・。


BDやっと届いて、劇場以来二度目の鑑賞です。

まずもってこの映画のどこが最高かと言うと、そのウェットに、シリアスにならないよう綿密に作られてる「トンデモスパイ映画」ぶりにあると思います。
スパイ道具からして「多機能銃搭載の仕込み防弾傘」「ライター手榴弾」「麻酔&記憶消去機能付き腕時計」etc...etc...もうこれだけでクラックラメロメロな訳ですよ。笑

劇中でも「最近のスパイ映画はシリアスに迎合し過ぎている」とメタフィクション的発言が入っている位なので意識的に所謂B級と昨今では蔑まれかねないリスクを承知の上で娯楽大作としての作りに全神経を集中させていることが本当偉いですよね。
シリアスがダメ、というではなく俺達が昔好きだったスパイ映画、ああいうのもう一回観たいじゃん?という姿勢を劇中随所に感じられます。

前述した道具なんかもそうですし、僕が特にそれを感じたのはあるキャラクターの死です。
昨今の映画ではキャラクターが死ぬとき、変に死に際の「最後の語り」を引き伸ばして心情を吐露させることが多いですが、この映画即死させますある重要キャラクターを。笑
これが下手にシリアスに、ウェットに作られている映画の万倍痛烈できついんですよ凄い踏み切った素晴らしい演出だと思います。

シリアス、ウェットを廃して娯楽作として最高の出来である今作ですが、じゃあ物語はすかすかか?というと実はそうでも無いんです。
レビュー冒頭の「礼節が人を作る」この言葉、原語では「Manners meketh man」劇中象徴的に語られる言葉なんですが、これはイギリスの社会風刺になっているんです。
イギリスは現在も社会階級が明白でそこに差別等はないですが、基本的に出自である程度自分の人生が決まってしまい、「労働者階級からのし上がるためには、サッカー選手かミュージシャンになるしかない」とよく語られるほどだそうです。

主人公エグジーも労働者階級の出、ましてや母親はエグジーを育てるため、界隈を仕切る悪党の元締めと再婚をしておりまともな教育を受けられるはずもない環境で育っているのです。
ですがハリーはエグジーに再三にわたり真の紳士とは出自ではなく、精神の高潔さが育むものであるということを伝えてくれるのです。
これらは恐らく日本人には馴染みがないのでピンと来ないところも多いですが、本国イギリスの方が観ればハッとさせられるものがあるのではないでしょうか。

とにかく言いたいことはまだまだありますが、長文になりすぎても嫌なので、この程度で筆を置き、なんかB級っぽい等の理由で見てないかたには是非ご鑑賞頂きたいと最後に伝えてレビュー終わりたいと思います。