しぇんみん

キングスマンのしぇんみんのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
3.9
「礼節が、人を、造る」
「他人より優れていることが気高い訳ではない。真の気高さとは、以前の自分自身よりも優れていることだ。」

ロンドンのサヴィル・ロウにある高級テーラー「キングスマン」。

そこで職人として働くハリー・ハート。

果たしてその正体は、国際的スパイ組織『キングスマン』のエージェント「ガラハッド」だ。

ある日、組織のエージェントの一人が何者かに殺害される。

欠員補充のため、ハリーはスラム街の若者エグジーの能力を見初めてスカウトする。

実は、彼の父親はキングスマンの元エージェントで、17年前に身を挺してハリーを救った命の恩人だった。

こうしてエグジーは、家柄の良い候補生たちとともに、『キングスマン』の過酷な試験に挑むこととなる。

一方ハリーは、莫大な資産を有する天才IT起業家、リッチモンド・ヴァレンタインが企む、恐るべき陰謀の謎に迫っていくが...。

「スパイ映画とはこういうものさ」という、正に荒唐無稽な物語。

スーツと眼鏡と革靴でシュッとコーディネイトし、傘がトレードマークの英国紳士。

それらのアイテムが、実は秘密兵器の数々だったりして。

スタイリッシュで上品で、暴力的で破壊的。

旧き良きスパイ映画を、見事に現代的なテイストに仕立て上げている。

また、爽快なアクションばかりでなく、マシュー・ヴォーン監督らしくグロくて悪趣味な描写も秀逸。

教会での殺戮シーンは、軽快な音楽に乗せて、肉片飛び散る地獄絵図が延々と繰り広げられる。

このシーン、不謹慎かもしれないが、何だかニヤニヤしながら見てしまった。

あと、ヴァレンタインの女用心棒「ガゼル」の存在感が凄まじい。

義足の両脚を鋭い刃に替えて繰り出される足技の数々は凄まじい威力で、並居る敵を一人で撃退する無双アクションは必見だ。

...と、褒め千切ってはみたものの、惜しむらくは主人公たるエグジーの存在感が薄い点。

物語が進むにつれ、ますますエグジーが引っ張る展開になっていくので、もう少しハリーとの絡みを深く描いたりして、重さを与えてほしかった。

まあでも、全編通して大興奮の物語であることは間違いなし。

ハナマル!

2018/02/09
2020/10/07 一部修正
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