垂直落下式サミング

キングスマンの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
3.0
マシュー・ヴォーンは、『キックアス』だとか『X-MENファーストクラス』などを撮ったことで高い評価を得ている監督だが、どうにも気が利きすぎる。漫画映画では効果を上げていた演出が、本作ではことごとく稚拙に映ってしまう。
スパスパ斬られるCGの手足とか、実は同級生は死んでませんとか、とりあえず金を積めばどんな映画にも出てくれるサミュエル・L・ジャクソンの誇張演技とか、このあたりの少年マンガ的なヌルさが色んなものを帳消しにしていく。
虚無の00年代を生きてきたので、友達を殺してでも生き残って、自分は前に進んでいくような多少の非情さを受け入れることは、冷酷さではなく少年が青年になるために必要な成長だと感じてしまう。
スパイ映画の醍醐味は映像美じゃねえ秘密兵器だ!とダニエル・クレイヴ版007にケンカを売る方向性。その意気や良しなのだが、何かが足りない。
個々のアクションも華々しく、フレッシュな目新しさもあり、往年のスパイ映画を思わせるような小ネタの使いどころもうまいのだが、何かが足りない。
大阪の小学生が若手芸人のネタを評するときに言う「何かが足りない」と同じようなことなので、別にたいしたことじゃないのかもしれないし、斜に構えたいお年頃なのかもしれない。