しめじろー

キングスマンのしめじろーのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.2
女性に生まれての数少ない不満は、かっこよくオーダースーツが着れないことですね。シュッと締まった肉体にサイズぴったりなスーツ!袖から覗くシャツ!正しい太さのネクタイ!チーフ!メガネ!ハット!かっこよすぎます!!そんなスーツ紳士が銃に傘に体術にと大勢を相手に大立ち回りを繰り広げる中盤のシーンは眼福でした。しかも長尺。『キック・アス』の監督さん、さすが厨二的なツボをわかってらっしゃる。

アメコミ好きの友人が「一番好きな映画」として本作を挙げていて、とても気になっていたこの映画。素行の悪い鬱屈した少年が、トンデモ武器を駆使して戦う正義のスパイ組織にスカウトされ、これまたトンデモ武器を駆使して戦う敵組織の陰謀を阻止するという、なるほどアメコミに共通する要素を感じました(知らなかったんですが、原作アメコミなんですね…)。もっと紳士的で真面目な世界かと思っていたので、このトンデモさに最初は面食らったものの、理屈抜きにカッコいいアクション、アイデア満載のスパイ道具、そしてどんどん過激になっていくストーリーとおふざけ要素に、徐々にこのぶっ飛んだ世界観に釘付けになっていきます。
この映画、かなり直感的なんですよね。理屈とか倫理とか二の次です。私が冒頭で触れた「スーツ紳士が敵をバッタバッタと倒すシーン」も、ストーリー的には全然爽快でも何でもない、かなり胸糞シーンなんですよね。こんなシーンで眼福とか言っちゃいけないわけです。でももう意味以上にビジュアルがアガるんだから仕方ない。かっこいい。最高。楽しいは止められない。結構そんなシーンが多くて、起こっていることは最低なんですけど、絵の魅力とパワーで否応なしにアガってしまう。こんな絵見たことない!こんなことしていいのかよ!この悪意ある高揚感が、この映画を唯一無二のエンタメ作品にしているのではないでしょうか。

そんなわけで予想よりもコミック的な作品でしたがおもしろかったです。最新作の3作目は公開が少し延びてしまいましたが、今のうちに2作目を予習したいと思います!!