ブタブタ

ポルノ時代劇 忘八武士道のブタブタのレビュー・感想・評価

ポルノ時代劇 忘八武士道(1973年製作の映画)
5.0
シネマスコーレの『丹波哲郎特集』で本作も公開との事で、見に行けなかったので気分だけでも参加の自宅で再鑑賞。
やっぱり面白すぎで追加レビュー😇

今やすっかり松本零士と並ぶマンガ界二大老害センセイになった感のある小池一夫大先生ですが昔は超凄い人だった(残念)
『子連れ狼』で「冥府魔道」と言う言葉を考えたのも小池先生。
本作品に登場する「明日死能(あしたしのう←なんちゅー名前(笑))」は眠狂四郎や座頭市にも並ぶアンチヒーローで作品数は少ないですが、丹波哲郎演じるそのインパクトとキャラクター、虚無感を漂わせたニヒルかつ非情、その異様なオーラと強さとアナーキーさはまさに稀有なる存在です。

『明日死能シリーズ』第一弾
『ポルノ時代劇・忘八武士道』

「死んでいくのも地獄なら、生きていたとてまた地獄か」

いきなりタイトルからして「ポルノ時代劇」って(笑)これが本作品がアヴァンギャルドかつマトモな時代劇では無い事を最初に思い切り言い切ってます。

 「人斬り死能」と恐れられる剣客・明日死能(丹波哲郎)がオープニングから役人をズバズバ斬りまくり、首や腕がスッポンスッポン飛びます。
そして「人を斬るのも飽きた」と橋から身投げ(笑)吉原遊廓の忘八者と言う一種のカルト集団に助けられる。
忘八者とは八つの徳「孝、悌、忠、信、礼、義、廉、恥」を全て忘れた無法者のことで人にして人に非ず、人たる姿を忘れた鬼畜外道集団で江戸吉原一帯をとりしきる無頼集団(解説より)

吉原を裏で支配する忘八者のボス・総名主に客分にとり立てられた明日死能は忘八者のもとで初代・首斬り浅右衛門が使ったという妖刀「鬼包丁」を手に吉原に属さない私娼窟を次々に潰していく。
これに対してお上・評定所の老中は秘かに「黒鍬者」と言うニンジャ集団・特殊部隊を差し向け明日死能抹殺を計る。
更にこれに対し忘八者側は女ニンジャ部隊を明日死能の護衝に付ける。
かくして忘八者VS黒鍬者の血で血を洗う凄絶な戦いが始まる。

と言うストーリーは殆どどうでも良く、70年代劇画テイストのエログロバイオレンス、相手がニンジャだろうが御家人だろうが女子供だろうが立ちはだかる奴らを明日死能が斬って斬って斬りまくる。

そして『ウルトラセブン』のアンヌ隊員ことひし美ゆり子さんが美女軍団のメイン、本作のヒロインとして登場。
景気よくぬぎます。
何故か外人金髪美女迄登場してゆり子さんがSMプレイばりの責めをみせたり、拷問を受けアヘン漬けにされるシーンでは『ゴジラ対ヘドラ』みたいなサイケな絶対にあの時代にはない照明が当たってLSDの幻覚みたいな世界、アシッドムーヴィーになります。

この明日死能の護衛の美女軍団が基本全裸。
おっぱい丸出しで股間を手で隠すと言うスタイル。
戦闘シーンでも器用に片手で股間を隠す、或いは映らない様にカメラワークを駆使してます。

シリアスなシーンでも背景に全裸美女軍団が前記の如く股間を手で隠すスタイルで明日死能の周りを無言で取り囲んでいるので笑っていいのか何だかよく分かりません。

サイケデリックで毒々しい世界。
前衛・ドラッグ・スプラッター時代劇。
明日死能の地獄巡り・冥府魔道の旅はまだまだ続きます。

『明日死能シリーズ第二弾』(?)
『地獄』に続く!

とここまでが以前書いた物。
本作は美術デザインも素晴らしくて吉原の非公式警護組織、女衒の集団「忘八」の「女男・男女・男女」って揃いのハッピや壁や襖に書かれてるグラフィック、そして阿片中毒にされた死能が酩酊状態で見る幻覚のサイケデリック空間の中での大立ち回り。
白い雪が真っ赤に染まり首やら手足がスポンスポン画面を飛んでくシュルレアリスム絵画みたいなクライマックスの殺陣等、エログロバイオレンス、アシッド・トランス・サイケデリック・スプラッター時代劇。
この『ポルノ時代劇 忘八武士道』は同じく石井輝男監督作品『恐怖奇形人間』などと一緒に今はなき大井武蔵野館のリバイバル・オールナイト上映で見てみたかった。
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