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ゴジラ キング・オブ・モンスターズのTELのレビュー・感想・評価

2.7
<めちゃくちゃ絡み合う微妙な怪獣大戦争>

1.ストーリー
ストーリーははっきり言って「無かった」ですね。激しい怪獣たちの大激突があり、無力な人類は持てる力を全て使い切って生き残るためにもがく、みたいなストーリーに無理やりヒューマンドラマを付け加えて丸く収めました的な感じです。

前作は、怪獣たちが出てくるまでの恐ろしく静かな過程や、上手くまとまっていて観やすかったゴジラたちのバトルシーン、高度に考え出された軍事戦略などなど、非常に良くできた映画でした。

でも今作は「怪獣バトル」に力を入れすぎていたため、他の部分がかなり疎かになっていたように感じます。だって、複数の怪獣たちを目覚めさせようとしていた敵対勢力が途中から空気のように注目されなくなったし、そんな彼らのアジトからいとも簡単に重要なアイテムを持って抜け出してたし・・・

また、渡辺謙の最期のシーンも若干滑稽。街中を破壊し尽くす豪快な描写や戦闘機とミサイルの迫力ある爆発なんかはとても良くできているのに、渡辺謙が最期にゴジラに相対するまでの映像なんて「何だこりゃ?」って感じましたよ。

そもそもそこに行き着くまでにあった海中の場面も唐突。なんの説明も掘り下げも無いのでご都合主義的すぎるなと冷めてしまいました。

最後は最後でなんとなくまとまりますが無理矢理感は否めません。また、エンドロールの最後に出てくるおまけ的なシーンもちょっとねぇ。これについても絶妙に微妙さを感じました。


2.登場人物
この映画の主人公は「ゴジラ」と「キングギドラ」なので、それ以外の人たちはおまけです。ただそんな中でも目立っていたのは渡辺謙やチャン博士だったかな?ゴジラの生態や行動を研究する博士たち、そしてそんな彼らと共に動く軍人たちでしょうか。ただあんまり記憶に残ってないんですよね。

(1)主人公
この映画はあくまで「ゴジラ」たち巨大怪獣が主人公。巨大で強すぎる怪獣たちの行動を抑えることも抵抗することも一切できない人類の無力さを強く感じさせられました。キングギドラの怪しくも恐ろしい大きな脅威、不気味だけど神々しく見えるモスラなどなど映画館で観るべきド迫力!ぜひ映画館で楽しんでいただきたいですね。

(2)人間関係
そんな中でもゴジラたちを殺すという勢力、ゴジラたちと共存するという勢力、そして彼らを地上へ導き破壊を誘発しようとする勢力と、3つの勢力が描かれていました。国や軍としてはゴジラたちを殺したいと考えているし、渡辺謙ら研究者たちは共存を模索しているわけで。


また敵対勢力は地球に存在する複数の怪獣たちを目覚めさせ地球をあるべき姿へ戻すべきだと考え行動しています。

どの考え方も間違っているわけではないけど、刻々と滅亡へのカウントダウンは始まっている。そして「そのカウントダウンを止めるため」に怪獣、そして敵対勢力に対抗する、という人間関係構図、それが今作でした。


3.映画に込められたメッセージ
怪獣たちが現れた理由が「地球の病原菌は人間」、環境破壊、海洋汚染、戦争・・・という現代社会が地球を破壊しているという現実を揶揄するようなメッセージもあります。

結局は人間が元凶、だから「こいつらなんとかしないと」という主張する敵対勢力が今回の明確な「敵」ではあったんですが上記のとおり目立たなかったですね。


4.まとめ
というわけで、この映画を観るんだったら、


1.前作は必ず観る
2.ストーリーは気にせず迫力ある映像を楽しむ
3.渡辺謙が素敵


上記3点が必須です。そこそこ面白いので他に観たい映画がないんなら観てもいいのでは?


※注意点
前作を観てないとよくわからない映画です。前作の登場人物の説明もなく唐突に物語はスタートするので。芹沢博士のバックグラウンドやゴジラの性格?については前作を観ていないと意味不明な部分もあると思います。
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