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ゴジラ キング・オブ・モンスターズのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.8
 数年前に息子を失ったショックから未だ立ち直れない母親の姿。その表情には深いシワが寄ると共に、深い深い悲しみに覆われている。今作における「オルカ」は、その亡くなった息子の具現化されたイメージだろう。かつてマーク・ラッセル(カイル・チャンドラー)とその妻エマ(ヴェラ・ファーミガ)とが共同で開発した崇高なる装置を、息子を失った母親がかつての夫に無断で起動させる。元夫もまた、深い悲しみを背負いながら妻とは別の道を歩く。今作はゴジラとゴジラを取り巻く3頭の怪獣たちの四つ巴のドラマである上に、かつて1度は思想を共にしたはずのある家族の相反する感情を克明に描く。それは前半部分の吊り橋の場面で早くも露わになる。足元もおぼつかない絶体絶命の状況の中、妻だったはずのエマはマークに向かって強い決意表明をする。その2人の相反する感情の犠牲になるのは、2人の娘であるマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)に他ならない。

 前作では秘密のヴェールに包まれていた「モナーク」の謎。あまりにも示唆に富む2人の続投組、芹沢猪四郎博士(渡辺謙)とヴィヴィアン・グレアム博士(サリー・ホーキンス)の道行きもなかなか壮絶だが、今作では彼らを筆頭とする科学者たちの深い苦悩が、人間ドラマの中に息づく。人の言葉が通じない怪獣たちをどう扱うべきか?人間たちの利己的な浅ましさ、自然破壊や環境問題。それら全てを引っくるめた上で、それでもなお人々の考え方は左右に大きく分断される。ゴジラを愛した芹沢博士と憎んだマークとの心の触れ合い。マイケル・ドハティのストーリー・テリングが、脚本家出身とは思えないほど粗いのは玉に瑕だが、それもラスト数十分の怪獣アクションへの布石だったと思えば合点が行く。ゴジラ映画史上、最大レベルに予算を投下しただろうゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラのバトルに放心状態になり、エンドロール終了後もしばらく動けなかった。

6/7(金)21時〜、ミヤラジ77.3FM『We Are Movie Lovers.』は、
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公開記念!! ゴジラ大特集!!

ゲストはゴジラと言えばこの方々しかいません。
番組初登場のゆーべんさん、特撮映画ヲタクの中野くんです。
ゴジラ、特撮好きは是非ともご視聴下さい。
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