せんきち

ゴジラ キング・オブ・モンスターズのせんきちのレビュー・感想・評価

4.0

ハリウッド超大作なのに大変狂った映画。ゴジラ史でもトップクラスの狂いっぷり。なので大変素晴らしい。



予告ではゴジラ、モスラ、ラドン、キングキドラが目覚め世界を蹂躙する中、さまよう親子の姿が描かれる。あー世界が崩壊する中で親子の絆とか言うのね。とか思ってた。


これが本編と全然違うの。とんだ予告編詐欺。


前作のゴジラ(2014)で登場した怪獣調査機関モナークは更に地球に眠る怪獣を発見する。その数17体。この怪獣達にどうすべきか国連で検討中に怪獣と行進できるマシン「オルカ」が環境テロリストに強奪される。地球環境保護過激派の彼らは最強の怪獣ギドラと交信するためオルカとその開発者エマとその子マディソンも誘拐される。妻子を救うべく夫のマークはモナークの芹沢(渡辺謙!)と協力するのだが...



粗筋みれば、よくある話じゃないすか。これが誘拐されたエマが環境テロリストの遥かに上回る狂人で「地球環境保護のために怪獣に地球人口を半分にしてもらおう!」って主張するんですわ。対するモナークの芹沢は「人類は一番偉くて強いゴジラのペットになるべき」と主張(大体こんな感じの事を言う)。



そう!大筋は変わらないけど方法論が過激派と穏健派の違いで本作には常識的人間がほぼ存在しないのだ!怪獣に殺されるか支配されるかの討論ですよ、あーた。


常識的人間がいないため本作には普通の人々の避難シーンがほぼない。常軌を逸した怪獣たちのバトルの中、怪獣以上に発狂した人間達が怪獣の足元で「オルカ」の争奪戦を繰り広げるのである。もう祭りにしかみえない。大変威勢のいい怪獣黙示録祭り。事実EDテーマでソイヤ!とかかけ声入るし(本当)。



怪獣のバトルはげっぷが出るほど観れるし、初代ゴジラ以上に平成ゴジラシリーズに過剰なまでの愛を注いだ演出は見事というかどうかしてる。平成ゴジラシリーズって当時の怪獣ファンにもろくな評価を受けなかったのだが、まさか日本人以上に評価しリスペクトしてる人間がいようとは。監督のマイケル・ドハティは狂ってる(褒めてます)。長生きするもんだ。



劇中、世界が崩壊するクラスの大破壊をやっておいてしれっとEDでゴジラが通った後は動植物の生態が回復したなんて適当なニュースをかぶせる辺り本当に最高。青汁のCMじゃねえんだから。


今時のハリウッド超大作は精密な脚本じゃないと通らないと思ってた最中、ビーンボールの様な脚本を通し映画化したレジェンダリー・ピクチャーズには感謝しかない。


このテンションで次作が『ゴジラ対コング』でしょ。これはコングにモナークが強化アーマーをつけてゴジラと戦わせるとみた。そこまで幼稚にしても全然問題ない世界感!
せんきち

せんきち