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深夜食堂の東京キネマのレビュー・感想・評価

深夜食堂(2015年製作の映画)
3.5
まあ、それなりに面白いし、時間潰しにもなるし、まあこれはこれで良いんでしょうけど、うまそうなナポリタンやとろろご飯やカレーライスを「見る」だけで1,800円払うお客さんは居る訳はないので、どうしても、何だかなあ~、にはなっちゃうんですよねえ。

日本人は人情話が大好きだし、日本文化継続の中心軸にもなっているテーマだから、こういう原作を映画にするのも分からなくもないけど、本筋で言えば、これ映画でやる必要があんの?、というところがやっぱり引っかかってしまうのです。まあ、あるとしても喜劇にしないと嘘くさすぎるとは思うんだけど、そういった漫画原作の映画化につきものの、マネタイズの出口の良し悪しの自問自答すら全く感じないのですよ。

飽くまで「映画」として考えるとですよ、「都会にある深夜営業の食堂とそこに集まる人々」という条件設定だけでこの程度のドラマにはなるでしょうし、うまい役者さんがそれなりに芝居をやればそれなりに形になっちゃう。それがまた製作者がこんなもんだよ、とたかをくくって作ってるっていう構図が見えちゃうっていうのもねえ。

漫画家のさいとうたかを氏が、テレビ番組でこんな事言ってました。“漫画や映画みたいに先にお金を貰ってから中身を渡す、そういう世界である以上、お金を先に払っただけの値打ちがないことには、その職業というのは絶対に衰退する。先にお金を貰うという仕事自体に、それなりの意味はあるんだ”要するにね、テレビでやるドラマと映画でやるドラマでは根本的に方法論が違う筈なんだけど、そんなことお構いなしに作って、それで観客をがっかりさせて、それでも案外赤字にならなかったりするっていう状況があって、これで益々「◯◯製作委員会」のような詐欺集団みたいなビジネス・モデルが継続して、素晴らしかった日本映画産業は緩慢なる死を迎えて(というより、もう死んでるか)、という環境を20年以上も続けている訳でねえ。

原作者、スタッフ、キャストが低賃金で働いて、地方のフィルム・コミッションからはタダ酒、タダ飯ごっそり頂いて、儲かったら委員会の大メディア企業が利益総取りってのもねえ。一番の被害者は観客なんですが、未実現利得なんてものは誰も分からないから何も言わないだけでね。

漫画それ自体は良いんですよ。むしろ原作者さんは被害者じゃないかと思うのですよ。だって、映画化する権利が原作者にはないんだからね、日本の場合。それに日本の製作委員会だったら、原作料なんて殆ど払わないですから。

映画『テルマエロマエ』でさえ100万円しか原作者のヤマザキマリ氏に払ってないなんて話が話題になりましたが、そんなのどう考えても詐欺でしょう。(私に言わせりゃ、桁が違う)ましてや、事前のネゴもなし、話し合いもなし、勝手に原作使って、勝手に映画化して、それで普通この業界はこの金額でやってます、って話って、もうそれはヤクザです。

そもそも製作委員会という方式は金証法違反ですよ? 関東財務局長さんが頑張れば、あなた達のビジネス・スキームは簡単に終わります。終わると、ちゃんとしたビジネス環境に戻りますので、日本の映画産業に関しても良い結果をもたらしますよ。だからね、一度業界は死んでくださいな。そこから出直しましょうよ、と正直思う訳です。

また、明後日に脱線してしまいましたが、この映画、200円だったら見る価値はあるんじゃないでしょうか。1,800円じゃあ、ちょっと勿体無いかなあ。