イペー

忘れないと誓ったぼくがいたのイペーのレビュー・感想・評価

3.8
わす"恋慕" !

平山瑞穂のファンタジー小説を原作に、周囲の人々から忘れ去られてしまう不思議な少女と、彼女に恋をした少年との純愛を描くラブストーリー。

自分もいい歳したオトナの男、それなりに人生経験も積んできましたよ。
今さらねぇ、甘酸っぱいジュブナイル風味の青春SF映画で心を揺さぶられるハズが…

ありましたね…。

あらすじは省略。
だって書いてあるんだもの。

前半、ノスタルジーを誘うキラキラ描写の数々、かっぱえびせんを食べながら鑑賞いたしました。オトナの余裕です。

中盤、虹郎くんとあかりちゃんが一生懸命に演じている姿、微笑ましく眺めておりました。思ったよりかっぱえびせんは量が多い。

後半、予想の範囲内ではあるものの、畳み掛けるような切ない展開の連続。
胃が重たいのは、食べ切ったかっぱえびせんのせいに違いない。

クライマックス、あずさの悲しい決断に、かっぱえびせんの空袋を握り締めて祈る気持ち。
切なさもMAX、胃もたれもMAX。
想像を超えたやり切れないエンディングで、胃がもげそうになっておりました…。

正直申し上げて、欠点は多い。
設定だけが上滑りしてるし、演出も垢抜けない。
お世辞にも完成度が高いとは言い難い。

ただ、見せるor見せないの取捨選択に関しては、的確かな、と。
タカシとあずさの関係性にフォーカスを絞っている分、主演二人の魅力が際立っております。

現実のあずさと、記録の中でのあずさ。
その顔に浮かぶ表情のギャップ。
タカシのたどたどしい言葉が与える影響の大きさ。
上手すぎない演技が、功を奏する場合もあるんですな。

結果として、素直にストーリーに入り込めましたし、細かいアラはそこまで気になりませんでした。
(ミッキー・カーチスの出し得感含む)

記憶の中ですら存在を許されない少女と、神様のイタズラに全力で抗う少年の、幸せで不幸せな恋。

自らの誓いを確かめるように、何度も何度も名前を叫び続けるタカシの声が、耳に残って…。

深夜のスナック菓子に注意すべき年齢の自分にとっても、忘れられない作品になりました!

…勢い任せの人生、散々味わってきた苦汁、脳裏をよぎる若き日の過ち。
夏の日の告白、野球場、桜舞い散る駅前の公園。
忘れたいと願ったイペーがいた…。
イペー

イペー