Inagaquilala

でーれーガールズのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

でーれーガールズ(2015年製作の映画)
4.0
「勝手にふるえてろ」の大九明子監督の2015年の作品。原作は原田マハさんの同名小説。「勝手にふるえてろ」と同じく、登場人物が生き生きと作品のなかを動き回る。「勝手にふるえてろ」と同じく、大九監督は登場人物たちの表情を切り取るのが上手い。もしかしたら、切り取るのではなくて、きちんと演技をつけているのかもしれないが、それにしても表情はいつもナチュラルなので、たぶん「切り取って」いるのだろう。それは、映像のつくり方を見てもわかる。じつに素晴らしい絵を撮っているのだ。もうそれは映像に対するセンスとでも呼ぶべきもので、大九監督はそれが抜群に優れているように思う。

物語は、山口百恵が引退した1980年といまが交錯するように進むのだが、このふたつの時代の切り替えも上手い。そして、山口百恵の引退とソング「さよならの向こう側」と重ね合わせる感動のシーン。ちょっと演出しすぎかもしれないが、それがわざとらしさを感じさせないのも、大九監督の手腕かもしれない。少女時代を演じた優希美青と足立梨花のふたりの女優も素晴らしいし、そのふたりのいまを演じる女優として宝塚出身の白羽ゆりと安蘭けいを持ってきているのもなかなかナイスな起用だ。いずれにしろ「勝手にふるえてろ」の小気味良い面白さは、すでにこの作品にも表れている。
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