おおさこ

ババドック 暗闇の魔物のおおさこのレビュー・感想・評価

ババドック 暗闇の魔物(2014年製作の映画)
4.5
〝ホームアローンxエイリアン2xシザーハンズ〟

去年、シネマカリテでレイトショー公開されて話題になっていた作品をやっとこさ鑑賞。
感想を簡単に言うと〝なんじゃこりゃー!x100〟です。だって、めちゃくちゃ怖いんですよ。その上、脚本もひねりあり。撮影もスタイリッシュ。ババドックの造形も◎
監督・脚本はジェニファー・ケントさん。この方、間違いなく来ます!要チェックです。

シングルマザーのあ母さんと1人息子。父親は出産の為、車で病院に向かう途中の事故で死んでしまいます。そんな訳でお母さんが1人で病院に勤めながら息子を育てています。この子がわんぱくを通り超して、少し問題児。ゆえにお母さんゲッソリからの育児ノイローゼ。そんな中、不気味な絵本〝ババドック〟を偶然手にして・・・と言う粗筋です。
冒頭の事故のシーンからシュールで幻想的でスタイリッシュで世界観バリバリ出てます。少しエッチなシーンもあります。ベットで自慰行為をしてると息子がいきなり部屋へ・・・。つい『ブラックスワン』のナタポの惨劇を思い出してしまいました。駐車場でいちゃつくカップルをガン見してたら目が合っちゃうという気まずいシーンも。この辺の描写が性的にも抑圧されたお母さんが神経をどんどんすり減していってる感じを強調していて良かったです。
全体的な編集や音の使い方も本来よりはワンテンポ速く、なんか微妙に気持ち悪いんです。あぁー、お母さん相当来てるなぁー、と神経症的な状態が観ていて凄く不安にさせられます。
息子くんはオリジナルな武器を作って遊んでいます。ボウガンだったり、小型の投石器だったり、爆竹だったりでやりたい放題です。けど、これをが後々効いて来ます。上手いですねー。その辺は『ホームアローン』的なワクワク感もあって上がる展開です。
何だかんだで、優しかったお母さんもついには息子くんにあたり始めます。「クソでも食っとけ!」とか「産まなきゃ良かった!」とかブチ切れ!あまりの豹変ぶりにあ母さんが〝ババドック〟なのか?と思わせる展開に目が釘付けに。
優しくかよわかったお母さんがブチ切れモンスターへ!あ母さんの豹変ぶりに怯える息子くん。その姿を見て、我に返り〝ババドック〟と遂に対峙することになります。その時のお母さんの態度が「息子に指一本触れるんじゃねー、クソ野郎!」とばかりの勢い!まるで『エイリアン2』のリプリーのようなたくましさ!
問題の〝ババドック〟の造形が絵本のキャラクターとあってどことなくレトロ。全身真っ黒で影を背負っていて、ながーく伸びた指は『シザーハンズ』を思わせます。
〝ババドック〟は最後にあるもの姿を借りて現れます。そこから察するに〝出来れば目をつむりたいが向き合わなければならないもの〟の象徴のようです。
物語に決着がついたかと思ったら、さらにそこから凄い展開が待ってました。思わず、まじかぁ!と震えるような展開です!これでこの映画はホラーというジャンルを飛び越えた大傑作になったと思います。

誰でも触れたくない過去があると思います。けど、ほっとくあなたの前に〝ババドック〟が現れるかも知れません。おぉー、怖っ。