カツマ

モーグリ: ジャングルの伝説のカツマのレビュー・感想・評価

3.6
孤立と戦いの連続。死はすぐそこにあり、弱肉強食の厳しい世界に生きている。とてもじゃないがディズニー映画『ジャングル・ブック』と原作を分け合っているとは思えないほど、綺麗事を排したダークなテイストのファンタジーが完成している。食うか食われるか、ジャングルで生き延びることそのものがサバイバル。人でもオオカミでもない主人公の苦悩に焦点を当てて、孤立と孤独の闇を突き抜ける、明日無き成長のドラマがここに。

監督は『ロードオブザリング』のゴラム役で有名なアンディ・サーキス。彼は直前に『ブレス しあわせの呼吸』でもメガホンを取っており、いよいよモーションアクターの殻を破り監督としてのキャリアを積み上げようとしているようだ。

〜あらすじ〜

舞台はインドの森深きジャングルの奥地。かつてこの地では、凶悪な虎シア・カーンの襲撃を受け多くの人間たちが命を落としたが、奇跡的に一人の赤ん坊が残された。偶然赤ん坊を見つけた黒ヒョウのバギーラは、身寄りのないその子をオオカミの群れの中へと連れ帰った。
赤ん坊はジャングルの中でオオカミの夫婦によって育てられ、モーグリという名前を与えられた。
それから数年が経ち、モーグリはオオカミの子供として生きていた。しかし、モーグリを取り逃がしたシア・カーンの魔の手はすぐ近くにあり、モーグリは何度もカーンに襲われそうになることに・・。

〜見どころと感想〜

クリスチャン・ベール、ケイト・ブランシェット、ベネディクト・カンバーバッチなどなど大物俳優がズラリと並ぶキャスティングは壮観の一言。それらは皆、声での出演なのだが、動物の顔を本人に寄せてきているあたりは、モーションアクターの大家アンディ・サーキスらしい仕掛けなのかもしれない(笑)

ディズニー版を想定しているとダーク描写の不意打ちを食らうため、映像的にはスクリーン向けだけれど、ストーリー的にはネトフリ作品で良かったのかも。
人間も弱肉強食の一部、自然の摂理の断片に過ぎない。そんな厳しい現実を直視させつつ、『ジャングル・ブック』という看板をしっかりと貫いた、ポップなようでいて、硬派な作品だったかなと思いますね。
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