まぐ

超能力研究部の3人のまぐのレビュー・感想・評価

超能力研究部の3人(2014年製作の映画)
4.0
あまりフェイクドキュメンタリー見たことなかったけれど、面白かった。

シビアな追い詰め方で、乃木坂を知らない人でもアイドルにこんなんやっていいのか…?とハラハラするだろう。ファンならなおさらだ。これもまた一種のエンターテイメントだなぁと感心した。




以下自分なりの考察
ネタバレあり

















◯映画の最初と最後のシーンはほとんど同じようなシチュエーションで撮られている。最初のシーンは「アイドルがそういう格好してなり切ってるだけに見える」という容赦ないダメ出しから始まる。故に強烈に記憶に残っていた。
だからこそ、最後のシーンでそのダメ出しを思い出して、それが全く当てはまらない3人を見ると、普通の映画のカタルシスと比べて一つ俯瞰的な、不思議なカタルシスがあった。これがフェイクドキュメンタリーの面白みなのかもしれない。



◯役と役者が乖離していた前半は作中作とドキュメンタリー部分を交互に見せていたが、だんだん役にシンクロしていくにつれて現実と作中作の境界線が曖昧になっていくという、感覚的に成長を表す演出も良かった。



◯現実の構造が作中作にも反映されるのも味わい深い(生田にないものを秋元が持っていたり、2人が仲直りしたり、橋本が一般人としての幸せ/自分の恋愛をすててアイドル/UFOを呼ぶ会に参加したり)。



◯前半ヤンキー役2人が秋元に浴びせた罵声の中に、「アイドルってなんだよ」「何をやりたいんだよ」というワードがあった。その時秋元はなにも言い返せなかった。歌も踊りも他のアーティストに劣っていて、演技も役者に勝てないと自覚しているからだろう。

しかし草むらに寝っ転がって3人が会話するシーン。UFOを呼ぶ意義について話す超能力研究部の3人…と思いきや、後半は撮影の話になり、ようやくそれが演技ではなく役者としての3人であることに気がつく。
でも、どちらも同じように、何の役に立つのかわからないことを何故か一生懸命にやっている少女たちのストーリーだったんだとそこでわかる。そして何を為すか以上に一生懸命やることで輝くこと、周りはそれを応援したくなることも同時にわかる。
これこそが、前半の罵倒に対する答えではないか?



「スプーン曲げに何の意味もないけど、なんか燃える。だから明日、UFOを呼ぶ」
「超能力研究部の3人」が「アイドル」、「UFOを呼ぶこと」が「歌って踊ること」のメタファーだとしたら…
この映画が突きつけるアイドルの正解はかなり納得できるし、アイドルだけじゃなく、部活だとかなにか頑張っている人に頑張ることに対する1つの意義を与えるものなのではないだろうか。
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