Narmy

クライム・ヒートのNarmyのレビュー・感想・評価

クライム・ヒート(2014年製作の映画)
4.1
ブルックリンのドロップ・バーであるカズン・マーヴのバーでバーテンダーをするボブ。
マーヴとは従兄弟の関係。
このバーは銀行に預けられない金を保管する数あるバーの中の1つで、組織のボスが毎晩金庫にするバーを選ぶ。
ある晩、このバーに強盗が入り、レジの金を盗まれる。犯人は?
これとは別にボブが怪我をした犬を拾い、育てていくストーリーが並行する。

ボブは闇の組織の末端なはずなんだけど、毎朝教会に通っていたり、犬を飼うことに重い責任を感じ躊躇ったり、実質バーのオーナーであるウマロフの軽口にも真面目に応えるかなり実直で純粋そうな性格。
犬を抱っこする姿からは何ともいえないくらいの愛情を感じるし、淡々として寡黙なんだけど、人の良さに溢れ、朴訥とした雰囲気に何より安心(信頼)してしまう。

この作品はラストの出来事に向かうまでに強盗のことだったりマーヴのことだったり昔のことだったりと、多くの謎も明らかになっていくんだけど、このボブに対する印象が最後まで変わることがなかったということが面白さの全てに繋がる。
作品の中では強盗の捜査にあたる刑事や、犬が縁で出会うナディアが大なり小なり観ている私達と同じような感覚を持っていたんではないかな。
そしてこれは何よりもその役がトム・ハーディだからこその感覚だったように思う。
他の人だったら……が想像つかないくらい。
全体としてはセリフ1つとっても細部まで考えられているし、ある物を包んでいるときのボブの様子とマーヴの様子との違和感だったり、1つ1つの場面の動きや心がラストに繋がっていったり、見ごたえもある。
暴力的な闇の世界というよりは、その世界で生きるしかない人の心の闇のほうの印象が強い。
ただ感情の抑揚は極力抑えられているのに緊張感はラストまで続き、画面にもセリフにも釘付けになった。

犬も可愛いし、世話をするトムハもやっぱり可愛いしであっという間で面白かった~!
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