このレビューはネタバレを含みます
今作はトムハーディそのもの。
今作のトムハは原題がThe Dropとあるとおり、時には“ドロップ・バー”と呼ばれる闇世界の汚い金を預かる銀行としても機能するバーのバーテンダーのボブを演じている。
序盤はそんな彼のバーテンダーとしての日常を淡々と描いており、
一見すると、暗く静かに進むストーリーは人によっては退屈に思えてしまうだろう。
クライムドラマと謳っているが、カーチェイスはないし、”ドンパチ”シーンが何度も出てくるわけでもなく、拳銃一丁持たせるだけで、一大事といった具合である。
それでも黒い幼いボクサー犬を拾ったことで彼自身に変化が現れる中、
彼といとこのマーヴが営むバーに強盗が入ったことで物語は動き出す。。。
取立て屋のチェチェン・マフィアの二人はどちらも不気味な怖さがあったし、
マーヴは借金苦で、銀行となる日に自らバーを襲おうとする等なんとも言えない小物感が出てた。
ただ何と言っても今作を観る理由でもあったトムハがよかった。
犬と戯れるシーンは気の優しい純朴な人物そのものであるが、
警官に詰められても臆することのない肝の座り方、目ヂカラ、
さらにはラストのサイコじみた言動は
まさに彼の真骨頂。
また、北欧ミステリーの名作、ミレニアムシリーズのリスベットを演じるノオミラパスが今作のヒロインを演じている。
邦題のセンスが無いものの、
隠れた佳作ではないだろうか。
トムハ好きの方、ノオミ好きの方には是非。
それ以外の方には特に勧めないでおく。