エディ

君が生きた証のエディのレビュー・感想・評価

君が生きた証(2014年製作の映画)
4.1
銃乱射事件で死んだ息子が遺した歌を歌う父親と、その歌に魅せられて一緒にバンドを組んだミュージシャン志望の青年との出会いを描いたヒューマンドラマ。まさに衝撃の結末と言って良い。

エリート社員のサムはビッグディールが取れたお祝いを息子ジョシュとしようとしたところ、息子が銃乱射事件で死亡したことを知り愕然とする。ジョシュ死亡以降のサムはマスコミに追われるなど精神的に追い込まれ、妻と離婚し職を失いどん底の暮らしをしていたが、息子の遺品から作っていたデモCDが出てきたので、息子の気持ちを知るために場末のパブで歌っていたところ、クエンティンという若者に気に入られ、二人はバンドを結成することになる。。。

マスコミや周囲の見る目など、息子を失っただけにしては不自然な伏線が続くので、ただならぬ気配を感じながら観続けると衝撃の結末になる。これを知ると、サムが荒んだ理由や家庭崩壊に陥った理由など全てが氷解する。そして、このポジションの苦悩を捉えた映画はありそうでなかったことに気付く。

ずっと事情が判らないまま、投げやりなサムにつき合わされているので、映画は決して楽しいものではないし、共感できるものではない。むしろ、途中までは、「いつまでもめそめそするなよ、気持ち悪いな」なんて思っていたのだが、土壇場で一気にひっくり返された。

最後まで観終えるととても深いし、ぐさりと心に突き刺さるものが残ったという意味で秀逸な映画だと思う。

ただ、最後まで観ても、「そうなってしまった」背景が全く判らない。判らないから、歌ってもしょうがないといえばそうだが、とてももどかしい。
なので、めそめそした感じがする邦題はミスリードだと思う。
先入観を一切持たずに観ると現実の重さに胸が押しつぶされそうになるし、後味のもどかしさを考えると、バンド名から取った原題「Rudderless:舵のない船」の方が良いように思えた。