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君が生きた証のJのレビュー・感想・評価

君が生きた証(2014年製作の映画)
4.5

非常に深く考えさせられる作品という観点で高評価。
決して感動したという部分のみでの高評価ではありません。





〜ネタバレ厳禁・以下ネタバレ含む〜〜〜



















ジョシュの曲


これは親にとってかけがえのない息子の曲であり、同時に犯罪者の曲でもある。

しかし、

少年の行為を"決して許されるものではない"ということを前提として捉えるならば

二度と同じような過ちが起きないためにも、少年の想いや考えが込められたこの曲に耳を貸すべきなのかもしれない。

墓地のシーンで衝撃の事実が分かり、この作品に対する見方が変わった。

曲に耳を傾け、ジョシュを見つめ直した。

すると様々な問題があったのだろうと想像ができた。

両親の離婚、新しい父親、旧父は仕事ばかり、残されたのは音楽だけ、それすらも満足にできる環境ではない…
だからといって彼の行動は決して許されるものではないが。

クエンティンも似たような境遇だろう。

だからこそサムは、クエンティンに息子を重ねて接したのだ。 

「おれの知らないジョシュに会えたような気がした」

クエンティンと歌をうたっているとき、サムは息子が犯罪者だということは忘れて、たった1人の大切な息子との時間を過ごしてたに違いない。

だが勿論、そこにいるのは息子ではなくクエンティンだ。

我に返ったサムはクエンティンを送り出し、息子の罪を受け入れるのであった。


世の中には銃乱射のみならず、様々な犯罪の犠牲者・被害者が存在する。彼らがこの作品を心から評価するのは非常に難しいことだろうし、彼らからすれば決して許すことのできない作品に違いない。

だからこそ第三者がこの作品に耳を傾けるべきだし、自分のこととして真剣に考えるべきなのだと感じた。

この作品に対して賛否両論あるだろう。だが、この作品から何かを感じ、自分の考えを持つ者が多く現れることが、この作品が本当に望んでいることなのだと思う。


後付けではあるが、クエンティンを演じたアルトンイェルチンも若くして他界しており、彼自身が作詞した曲も心に染みる。
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