ねまる

あなたを見送る7日間のねまるのレビュー・感想・評価

あなたを見送る7日間(2014年製作の映画)
3.9
選べなかった道を選ばなかった自分を許す話、
選べないと思っていた道を選ぶ話。
どちらもきっと道は決まっていて、その道を進む自分を認められるきっかけと出会うことなんだろうね。

この家族はそれぞれ、夫・父親の死と家族との時間がきっかけとなり、人生の複雑さと向き合っていく。
コリー・ストール、ジェイソン・ベイトマン、ティナ・フェイ、アダム・ドライバーの4兄弟。

『ストレンジャー・シングス』の製作、『フリーガイ』なと絶好調なショーン・レヴィ監督。
家族の会話の中にもコメディ要素が多いのは、ぽいなぁって感じで、派手ではないけど暖かい作品。
みんなちょっとずつ出来損ないで、だからこそ彼らに寄り添う気持ちになれるのが良い。
人間そんなに出来てないから。

このアダム・ドライバー、遊び人な末っ子なんだけど、喧嘩を止めるときに、大きな全身で抱きつく感じとか、ちょっとした仕草が可笑しくて、愛おしい。
全力末っ子、愛されキャラ。甘やかされて育ったし、私が家族でも愛してしまう。
世界は自分の子供達のためだけに回る、と信じられる親になりたい。

最近知った良い言葉。「ネガティブ・ケイパビリティ(Negative capability)」
英国の詩人キーツ(Keats)の言葉で、すぐには解決できない事柄を受けとめて向かいあい、不可解さや不確かさに耐えて取り組み続ける能力のことなのだとか。
そんなものにも近いのかなという感覚だね。

選べなかった道は、選べたのに選ばなかったんじゃなくて、その時の自分にはその道しか選べなかった。その選択しか出来なかった自分許してあげること。
人生には無限の可能性が広がっているようで、自分が選べることなんて僅かなんだよ。言い訳だとしてもね。
その結果、どんなに複雑なことになっていたとしても、人生の複雑さを認めること。
感情に正解はない。複雑さを認め、諦めの中で大人になるんだ。
そんなことで家族は失望しない。
それでも、その時の自分には選べなくても、今の自分には選べることもあるんだよ。
ねまる

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