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フィフス・シーズン 春の来ない村のchaooonのレビュー・感想・評価

3.7
村人の大半が農業を営み、自給自足を日々の糧とするベルギーの小さな村。ある年の豊穣の祈願が失敗。まるでその報いのように、ジワジワと広がる村の不幸が、人々の心を蝕む。

娘に身体を売ることを強要する母親、不幸の原因のすべてをよそ者に被せて救いを求める村人。
閉鎖されたコミュニティが貧困に陥った時に、追い詰められていく人間の心理の歪さ。集団心理の怖さ。

最後まで救いがないゾッとする展開が淡々と繰り広げられていくが、それ以上に映像の空気感の美しさに心が囚われる。

OPで鳥と対峙する男性、雪の降りしきる中でのバーベキュー、盲目の少年、少年と少女の戯れ、蜂、タワシで無造作に身体を洗われる変わり果てた少女、残酷に燃える炎。

だいぶ前に観た映画だけれど、そのワンシーン、ワンシーンがまるで美しい写真集をめくるように、未だに頭に鮮明に浮かぶほど、印象的な色味や構図が心に入り込む作品。

もっとじっくり丁寧に観ればもっと深いメッセージがありそうな作品。私はとりあえず表面の雰囲気だけ堪能。いつか時間があったら、もう一度…
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