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ワンダフルワールドエンドのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ワンダフルワールドエンド(2014年製作の映画)
4.2
人気女優橋本愛とミスiD2014グランプリの蒼波純が共演を果たし、大森靖子の楽曲「ミッドナイト清純異性交遊」と「君と映画」のMVを基に映画化。
それらの作品を手掛けた『スイートプールサイド』などの松居大悟が監督を務め、さらに追加撮影したエピソードを交えて二人の少女の物語を紡ぎ出す。ベテラン俳優の利重剛や町田マリーらも共演し、大森自身も登場。音楽と映像のコラボに息をのむ。
モデルとしてなかなか芽が出ない17歳の詩織(橋本愛)は、売れっ子モデルをうらやみながらも自撮りやブログを駆使してのファン獲得に余念がない。彼女と半同居状態の恋人浩平(稲葉友)は、あまりにもがむしゃらな詩織を冷めた目で見ていた。
ある日、詩織は撮影会に来た常連の13歳のファン亜弓(蒼波純)に話し掛け、モデルとファンを越えた友情で結ばれていく。
だが詩織はなかなか芽が出ず、家出していた亜弓を連れ戻しに来た亜弓の母の登場で、詩織と亜弓の友情と人生は徐々に歯車が狂っていく。
この映画は、男の欲望や社会の束縛からも自由な「絶対少女」であろうとする女子の物語。
「自分は誰よりも可愛い」と思っていて女優としてファンを増やしていきたいと思っている詩織は、ツイキャスやブログを使ってファンをつかもうとするが、上手く面白い内容の配信が出来ず、男のウォッチャーに肌の露出を要求されて上手く自分の持ち味を発揮出来ない。亜弓は、束縛する愛を押し付けてくる母をうざいと思っているけど、なかなか自分を上手く表現出来ない、詩織に憧れ真似してツイキャスしたりブログを書いていたりする。「何者」かになろうとしてなれない詩織や亜弓、プライドばかり高くて自分の演劇を宣伝することが出来ない詩織の彼氏のサブカルチャーや芸能界に関わる人間のイタさを描く一方、亜弓の純粋な部分に憧れる詩織とがむしゃらで可愛い詩織に憧れる亜弓の彼氏や母すら邪魔出来ない強い絆を描いていて、痛快なガールズムービーになっています。
詩織が亜弓への愛を伝えるために公園で歌う「ミッドナイト不純異性交遊」、詩織と亜弓がゲームセンターで楽しく過ごすシーンで流れる「愛してる.COM」など、女子の切実な思いを描く大森靖子の名曲の数々が、セリフ以上に詩織たちの心情を上手く表現しています。
ただ亜弓と母の関係、詩織と彼氏の関係が、掘り下げ方が物足りないなど粗もありますけど、クライマックスでゴスロリファッションの詩織と亜弓が黄色いコスモス畑を駆け抜ける姿を見ると、「どこまでも駆け抜けろ」と思える青春映画です。
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