井上ひさしの小説『東慶寺花だより』が原作。
11年に渡り連載された連作短編集を映画化。
時代劇として一線を画す。
ファンタジックな時代劇じゃなく、
本作は現実的な生活を描いており、
当時の言葉が出てきます。
本作はスロースターター。
中盤までは退屈であって、
聞いた事ない言葉が連発。
江戸文化を知る人ならば、
楽しめるような構成だが、
知らない人はとても退屈。
中盤以降は物語が大きく変わっていく。
舞台は鎌倉の町から東慶寺に移ります。
ここから物語に引き込まれていきます。
主演には大泉洋。
医者見習いで戯作者見習い。
中村信次郎です。
医者としての腕は確かで、
戯作者としても口達者で、
修羅場をくぐり抜けます。
駆込み女は三人がメインである。
顔に傷を持つ鉄練りのじょご。
演じているは戸田恵梨香です。
ヒロイン的な立場で、
田舎娘のようだけど、
演じる戸田恵梨香は、
ともてキレイでした。
商人の妾であるお吟。
演じるは満島ひかり。
薄い眉毛、お歯黒と特徴的な化粧法。
満島ひかりの美しい顔立ちが際立ち、
その生き様すら美しく演出している。
道場の娘である戸賀崎ゆう。
演じているは内山理名です。
女剣士としてインパクトを残す。
三人の中で短い主演も印象的で、
内山理名は強さを象徴している。
登場人物が多い中でベテランも奮闘。
離縁調停人の三代目柏屋源兵衛には、
ベテラン女優である樹木希林が演じ、
江戸時代の代表敵戯作者の曲亭馬琴、
こちらも大御所の山崎努が演じます。
幕府公認の縁切り寺が舞台だが、
前半では当時の生活を表現する。
早口による聞き慣れない言葉が飛び出す。
何を言っているのか分からないほど早い。
聞きそびれると何がどうなっているかは、
分からないという事がなかったのですが。
このように当時の言葉を使う作品。
それが好きな人には堪らないです。
逆に知らない人には退屈でしょう。
中盤まではその掛け合いが中心で、
ガマンを強いられるような展開だ。
しかし、中盤を過ぎると不思議な体験をする。
それは気がついたら物語の中に入っています。
チグハグだった人物関係がようやく実を結ぶ。
東慶寺に駆け込み、
惨めな人生から脱却し、
新たな一歩を踏み、
違った生き方を選んで、
再出発する彼らに、
いつの間にか感情移入。
そんな作品である。
「べったべった、だんだん」
この言葉は本作を象徴している。
戸田恵梨香が言えばもっと良い。
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