mo

駆込み女と駆出し男のmoのレビュー・感想・評価

駆込み女と駆出し男(2015年製作の映画)
4.8

『惚れた男の涙は、とんちきはっつけ。
百年の恋も醒めちまう。』


舞台は1841年、天保の改革の真っ只中の江戸時代、鎌倉です。
当時、離婚は夫の方からのみ一方的に出来るものであり、夫と離婚したい妻は、夫側に問題があってもただ耐えるしかなかった時代です。
そんな妻たちへの救済処置としてあったのが、幕府公認の縁切り寺「東慶寺」。
東慶寺では、夫との離婚を望む妻たちを一時的に匿ってくれます。


鉄工所で働く”じょご”
商人の愛人の”お吟”
道場の娘の”ゆう”


生まれも育ちも全く違う3人の女たちが過去と決別し、再び強く生きようとする様子を描く作品です。



すごく感動しました。
あまり邦画は好んで観ないのですが、こういう作品をもっともっと作って欲しいと思います。
キャストも豪華で、重たい題材ですが大泉洋さんのコミカルさが清涼剤となって観やすい映画に仕上がっています。
台詞回しが昔風なところも魅力ですが、みなさんのレビューの通り早口でわかりにくいところがあったので私は字幕を活用して観ました。
これから観る方は是非字幕をオススメします。



昔から日本の女性は慎ましく、夫より一歩下がった姿勢が好ましいとされていますが、そんな状況下だからこそ内に秘める芯は強く、奥ゆかしさの中にも気品がある女性が育つのだと思います。
満島ひかり演じるお吟がまさにそれで、作中では「徒花」なんて例えられていますが、まさに散っていく姿が儚く美しい桜花。
満島ひかりの演技だけで★4は堅いです…。
お吟の生き様は洋画では見られない、日本人女性特有の強い生き方だと思いました。


そして伏線の張り方も見事。
この話に関してはネタバレは一切見ないで観ていただきたいです。
電話も携帯もない時代にあった、人と人を繋いでいたもの、時が経っても変わらない”想い”。
文明が発達して簡単に多くの人と繋がれる時代になった今、こういった本物の繋がりが尊く、羨ましくも思います。
一つ一つの物語が美しく、日本ならではのわび・さびを取り入れたとっても粋な作品に仕上がっています。


べったべっただんだん♪
素敵な作品に出会わせてくれるfilmarksにべったべっただんだんです!!
mo

mo