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駆込み女と駆出し男のnamのレビュー・感想・評価

駆込み女と駆出し男(2015年製作の映画)
3.8
「江戸時代の男と女の別れ・再出発をテーマにした本格人間ドラマ」

最初はタイトルの印象と江戸時代の男女の離婚を扱う、主演は大泉洋と聞き、コメディ寄りの時代劇なのかなと勝手に想像しておりましたが、そんな事はなく見事に裏切られました!なにより役者の皆さんの演技力に引き込まれます!

「駆け込み女」とは当時、立場など理由に女性の方から離婚が出来ないため、様々な事情を背景に離婚をするために縁切り寺に駆け込んだ女たちの事で戸田恵梨香や満島ひかりが演じます。

そんな女たちが駆け込む東慶寺という幕府も公認の縁切りの尼寺(今でいう家庭裁判所的な役割)ここではまずは夫との協議離婚だがそれに夫が応じなかった場合のさらなる救済として、東慶寺にて2年間女性側が修行を積めば夫は離縁状を書かないといけない決まりのようです。

そして「駆け出し男」とはそんな女性たちが寺に入る前の身柄を預かる宿に居候する事になった医者見習いであり、戯作者(今でいう小説家)にも憧れを持っている男の事です。そんな主人公である信二郎を大泉洋演じ、縁切りを望む女性たちと関わっていくドラマです。

良かった点としては
・大泉洋の明るく笑いを誘えるような演技もしながら、時折カッコいい魅力的な部分も演じる器用さ。この役は彼だから出来たと感じる程です。
彼の啖呵を切ったシーンでの口上は素晴らしいです!
・戸田恵梨香演じるじょごの健気な可愛さと成長
・満島ひかり演じる吟の色気とはかなさ
・世界観のある美しい映像

劇中の信二郎のセリフ「素晴らしくて敵わないときには『素敵』と言いましょう」という説明が後々効いてきます。

ただ難点を言うとしたら、江戸のセリフ回しや早口など内容が分からないシーンも出てしまうので置いてかれてしまうなぁと感じたので、事前なり並行してなりで解説読むくらいでちょうどいいかもしれないと感じました。

本格的な人間ドラマなので安っぽく、軽い邦画に飽きあきしてた方にはオススメです。終わり方も明るく、感動できる要素も多々あります。
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