ササキ・タカシ

駆込み女と駆出し男のササキ・タカシのレビュー・感想・評価

駆込み女と駆出し男(2015年製作の映画)
5.0
傑作。Filmarksでの評判を知らなければスルーするところでした。やってて良かったFilmarks。

やたら暗くて辛気臭いわけでもなく、あるいはバカ殿様と変わらんようなやっすいコスプレコントでもない、古き良き時代の豊かでユーモラスな娯楽時代劇を現在の技術、演者で再現、っといった印象で、山中貞雄の諸作や『幕末太陽傳』あたりを彷彿とさせるノリがとーっても快楽的でありました。スタリッシュでセクシーなカット割りにカメラワークと、鮮やかで静謐な世界観の絶妙なバランス。確かな実力の役者陣が挑む機知の富んだ台詞のアンサンブルは昨今の日本映画ではなかなか味わえるようなものではなく、いやあ、見終わった直後の膨よかな充実感ったらなかったな、こういう感覚久しぶり、本作と『ラン・オールナイト』と『チャッピー』をハシゴする予定だったんですけど残りの2本をキャンセルして一日中浸っておりました。登場人物の全てが魅力的で特に女たちの生き様にはいちいち胸を打たれまくり、戸田恵梨香の強くしなやかな眼差し、満島ひかりの艶やかさ、内山理名の凛々しい存在感などはもうそれ単体で一本の映画として成立するんじゃないかってレベルなんですけど互いが邪魔することなくちゃんと一つの世界の中に溶け込んでいてなんだかちょっと贅沢な会席料理食べてるみたい。「ちゃんと、そこに、生きてる」んだよなあ、決してリアリズムで作られた脚本、演技ではないんですけど。ああ、具体性のない褒め言葉しか出てこないのが歯がゆいです、人に薦めたい映画なのは間違いないんだぜ。