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ある神父の希望と絶望の7日間のtorakoaのレビュー・感想・評価

4.0
告解で殺害予告された神父の一週間が描かれる。幼い頃に今は亡き神父から性的虐待を受けたと言う告解者から、悪い神父ではないゆえに殺害すると告げられる主人公。今ではなく、次の日曜日に。本気なのか、彼は誰なのか、信仰とは等々、様々な人間模様から色々なものが浮き彫りになっていくような話。
割と淡々と主人公の日常が描かれていく感じで、ミステリー的な描かれ方はしていない。

原題:Calvary - (精神的)受難、苦悩φ(.. )

扱ってるものは重いが、ブラックユーモアで軽量化されてる。しかしそのユーモアに棘が含まれてもいる。
軽口で教会批判したり、殺人犯が下衆発言の後「神が私を作ったんですよね」と言ったり、色んな人が疑問を投げかけてくる。
不謹慎な気はしつつ冒頭のメタ台詞みたいなとこ笑ってしまったし、インモー出しながら登場する彼オーウェン・シャープさんφ(.. ) はモンタージュ的なとこでも笑いそうになったが、コメディ感はそんなにないと思う。シニカルなユーモアはあって、どシリアスではないぐらいのトーンかなー。

お勧めはしづらいが『スポットライト』を観た方に併せて観てほしい。「不作為の罪」という言葉が出てくる。
性的虐待により受ける傷の深さ、40〜50年も前の話を蒸し返さなくてもと言う神父。虐待を受けると自分には価値がないと感じ劣等感を抱いて育つ。それがその後にどれだけ影響するかは『バタフライエフェクト』でも観れば何となく想像できるかと思う。
主人公にとっては理不尽だが、何の罪もないとまでは言い切れない思いも抱えた戸惑いと苦悩の一週間だったように私は思った。色々ハッとさせられ考えさせられる作品。
景観の美しさは彼らの心情を表してるようにも感じた。寄る辺なさや痛みが伝わってくる。後半に少しわからないところがあるし終盤は好悪分かれるだろうが、良作だと思った。

クリス・オダウド出演作ゆえ鑑賞。アイルランドが舞台の話で、アイルランド出身またはアイルランド系俳優多数。あらあなたもあなたもそうでしたか。『ゲームオブスローンズ』小指の人エイダン・ギレンφ(.. ) 、『アバウト・タイム』主役の人ドーナル・グリーソンφ(.. ) が出てた。
ドーナルさんは顔覚えにくいな。そしてちょい役だったが確かな演技力を見せられた。ディラン・モーランさんは初見な気がするが、この人の演技もっと見てみたいと思う俳優だなー。ケリー・ライリーさんは頼りなげな佇まいで何かよかった。

フォックスサーチライト作品だった模様。フォックス、配信スルー増えてるなー。フォックスのBD仕様とか価格設定とかユーザーライクで気に入ってるのになー。ディズニーのせいかなー。
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