イチロヲ

ハッピーボイス・キラーのイチロヲのレビュー・感想・評価

ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)
4.2
動物や死体と対話することにより、自らの被害妄想と強迫観念を刺激させてしまう青年が、無軌道な連続殺人事件を引き起こしていく。「神の声が聞こえる」「悪魔が命令する」という心的疾患を題材にしたサスペンス映画。

人間ならば日常生活において誰しもが感じているであろう、自分のことを責め立ててくる虚妄の声。本作では、虚実の皮膜というアンビバレントな状況下に置かれた青年による、「虚妄の声」との孤立無援の戦いが繰り広げられる。

精神安定剤を服用するとツライ現実が見えてしまう。安定剤の服用を拒否したほうが、自分としてはハッピー(だけど、殺人事件を起こしちゃう!)。

「神様はどこにいるのか?」という普遍的な提起に着地するあたりは、「ペルセポリス」を手がけたマルジャン・サトラピの真骨頂。ラストは各宗教の開祖をいっぺんに登場させるぐらい攻めても良かったと思う。