めばち子

湖の見知らぬ男のめばち子のレビュー・感想・評価

湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)
5.0
ディスコミュニケーションの時代にあって我々は他者とどう繋がるか?言葉と肉体、セックスを駆使しながら、形のない曖昧で不確かな『繋がっている』という感覚を求める男たちの姿は、描写が過激であればあるほどより切実に我々のこととして胸に迫る。
舞台となる湖で同じ空間にいながら微妙な距離で点在する男たちは、まるで別の惑星に一人取り残されたかのような絶望的なまでの孤独を滲ませ、目の前の湖(これが海ならどこまでも開けているのだが)の閉じた様の、勇気を出して泳ぎ出せば繋がりたい相手に届く(それでいてその想いは交わらない)その中途半端な感じと共に、それをただ見つめるしかないところも切なかった。
恐怖心で暗闇に身を潜めながら、それでも相手を希求し名前を呼び続ける主人公の顔が闇に溶けて見えないラスト。その闇が永遠に続くように思えてどうにも居たたまれないのに、そこから目を背けることもできない自分もまた彼等と同じ孤独な惑星の住人なんだと思った。
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