てらし

ドクター・ストレンジのてらしのネタバレレビュー・内容・結末

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

本作の一番の見どころはクラクラさせられる3D表現なので、最低でも3D、ベストはIMAX3Dかと思います。ただしこの映像表現が「わーきれいだなー」的なハッタリとしてでなく、マーベルシリーズ全体にとっても非常に意味あるものであるでしょう。

本作がシリーズ全体にもたらすものは2つです。1つはアヴェンジャーズでは対応しきれない「裏面」を扱いうる点、2つ目はその「映像」によって他作品との接点を作ったことです。

第一の「裏面」ですが、作中でも言及されているように「アヴェンジャーズが扱いえない非物理的・非物質的な次元」に踏み込む能力をDSは持っています。またDSはアイアンマンと非常に対照的なキャラクターです。その傲慢さを一貫して保っているアイアンマンとは違い、DSは(少なくとも作中では)自らを省み、悟り、おさめます。また両者は「科学者」ですが、前者は自然法則を扱う物理学・工学であるのに対し、後者は身体(と魂とが不可分であると理解されてはいる)を対象とする医学であるというのは、DSがアヴェンジャーズないしアイアンマンと対置されているからに他ならないでしょう。(この辺りの裏に裏に、という描写は結構効果的だと思っています。例えば本来生命を救うことが目的であったDSが本来生命蘇生の道具であったはずの機器で敵を殺し、さらにその「殺すということの苦しみ」を用いてラスボスを攻略するというのは、うまいですよね。)

第二の「映像」のシリーズに対する意味についてです。本作では時間を超越した人知未踏の世界を描いていますが、同種のものは「アントマン」における超超ミクロな世界ないしは「ガーディアンズ〜」での極彩色の広大な宇宙空間において登場しています。すなわち本作の描写は過去のシリーズ作品との結びつけを、ストーリーからではなく、「時間と空間」というテーマと高度な視覚表現を通じて実現しようとしているのです。

以上の2点から、本作はシリーズを暗にメタ的にかつ視覚的に串を通そうとする、重要なものだと思いました。ストーリー的に若干物足りなさを感じるところもあり、手放しで傑作とは言い難いとも思いますが、全体的観点からすると、案外重要作になってるんじゃないでしょうか⁉︎
てらし

てらし